温もりの宿 辰巳館tatsumikan

AG304 総合評価
原産地への配慮
現地産食材の使用
無添加への取り組み
Point ここがポイントです!
1.炭火で焼きながら食べる「いろり献残焼」は地元群馬の山の幸がたっぷり
2.土地に伝わる料理を取り入れた前菜や、川魚にこだわるお造りなども美味
3.源泉を使って調理した朝食も優しい味わい

「いろり献残焼(けんさんやき)」が名物

地元の山の幸・川の幸を炭火で焼いて食べる「いろり献残焼(けんさんやき)」が名物の宿。
食事は会席スタイルの「山里料理」も選べますが、この宿の醍醐味を味わうなら、ぜひ囲炉裏テーブルを囲んで、目の前で焼きながら食べる「いろり献残焼」を。

献残とは、高貴な方に献上した残りの御裾分という意味だそうですが、この地は古くから上杉と武田の戦が多く、その合間に武士が刀に魚や山菜などを刺して焼いたという「けんさき焼き」が「けんさん焼き」になまったものだとも言われているそう。
辰巳館では先代のころから、囲炉裏で焼いて食べるこうした田舎料理のもてなしを始めたのだとか。
食材はもちろん、地元産のもの。それどころか炭も、片品村のナラの木でできたものを使っているほどです。

その炭火で焼かれるのは、赤城牛や赤城鶏、川魚、月夜野で栽培されている肉厚のしいたけ、季節の野菜など。締めは大きなサイズの焼きおにぎりです。おにぎりに使うお米は、みなかみ町の本多義光さんが育てているコシヒカリ。これを先代が開発したという秘伝の味噌で味わうのですが、お腹いっぱいと思っていてもペロリと食べてしまうおいしさ。

お造りも群馬県という海から遠い土地のお宿なので、鮪などの海の魚は地元の会食など以外では使っていないそう。群馬が生んだ最高級の紅鱒という「銀光(ぎんひかり)」や、オキアミだけで育てているので泥臭さが無いという桜鯉、利根川の清流で育った「川ふぐ」と、すべて川の魚を使っています。

川ふぐ、という名前でわかる方は少ないかもしれませんが、これはナマズのこと。クセはないけれど脂が乗っていて、川魚が苦手という方にも好評だそう。鯉も刺身というと洗いを思い浮かべる方が多いとは思いますが、桜鯉はクセがないので、普通にお刺身として食べた方が美味しいと料理長。

「川魚を苦手な方からも、こんな料理法があるんだ。食べてみるとおいしかったよ」と言っていただけることがありますが、そういう驚きをもっと伝えていきたいです」と言い、刺身や唐揚げ、南蛮漬けとして出しているナマズも、さらにおいしく食べられるようにと、現在はみそ漬けを実験中なのだそう。「西京焼きみたいな形にできると思うんです」とのことなので、これも完成が楽しみ。

また谷川岳を遠くに望む会場で味わうボリュームたっぷりの朝食も、この宿の人気理由のひとつ。
夕食と同じ本多さんのコシヒカリを、上牧温泉の源泉で炊いた「源泉がゆ」や、地元の野菜使った「源泉蒸し」、赤城牛のもも肉を源泉でボイルした「ボイルドビーフ」など、温泉をいかした料理がズラリと並びます。

お粥は、昆布と塩だけで味付けしたとは思えない複雑な旨み。ボイルドビーフも、なぜ水ではなく温泉を使うのか聞いたところ、「例えば、ホウレン草を茹でるときに、ゆがいただけだと茹でた時の「水臭さ」を感じるます。ホウレン草ならそれを鰹だしに一晩つけておくと食べやすくなりますが、温泉で茹でると、その水臭さを感じないんです」と料理長。上牧温泉のお湯にはごくわずかな塩分やミネラル分があるからか、源泉蒸しも源泉がゆも真水で作るよりもおいしくなるのだとか。ボイルドビーフにかけるタレももちろん自家製。味噌も県内で作られているものを使うなど、みなかみを中心に、近隣の片品村や沼田など、できるだけ県内の素材を使った素朴な料理を求めてリピーターが多いのも頷けます。

 

ある日の夕食例

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地元の山の幸・川の幸を炭火で焼いて食べる「いろり献残焼(けんさんやき)」。

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右/オリジナルの超辛純米酒「たつみ」や、群馬の利き酒セットなどお酒も充実。写真の「竹冷酒」は凍らせた竹を器にして冷えた超辛純米酒を注いだもので、「いろり献残焼」によくあいます。1本に1合入って918円

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左/前菜には、姫鱒寿司、うるいの苺ソース掛け、桜鯉のぬた和え、ふきお浸し、ごぼうの胡麻和えなどが。笹寿司は保存が利くので、昔から地元でよく食べられていたもの。
右/炭火で焼く「いろり献残焼」は、赤城牛、赤城鶏、やまと豚。

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左/群馬が生んだ最高級紅鱒「銀光」、利根の清流「川ふぐ」、流水育ちの「桜鯉」と川魚を揃えたお造り。
右/上州やまと豚や地元産のきのこを使った「上州やまと鍋」。

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左/生姜などを入れて毎日作っているという味噌だれを塗って焼くおにぎりは「いろり献残焼」の醍醐味。
右/自家製の黒胡麻プリンとフルーツ。いちごは地元・高橋農園のもの。

ある日の朝食例

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上牧温泉の源泉で炊いた「源泉がゆ」や、地元の野菜使った「源泉蒸し」、赤城牛のもも肉を源泉でボイルした「ボイルドビーフ」など、温泉をいかした料理がズラリ。

審査員の実食おいしさ判定

炭まで地元群馬産を使うという囲炉裏テーブルで焼く「いろり献残焼」は、自分たちで調理するというシンプルな食べ方だからこそ、上質な素材が選ばれています。それを食べるタレも、締めの焼きおにぎりに塗る味噌も、無添加の自家製で、素材の味を引き出しています。地酒も豊富で割安なので、酒のみには嬉しいはず。また朝食のおいしさも特筆もの。前夜に昆布をひたしておいた源泉で炊いたというお粥は、塩で味を調えただけと言われましたが、そうは思えないほどの深い味わいです。
横尾鮎美

上牧温泉は、ナトリウム・カルシウム・硫酸塩泉のやわらかなお湯。その湯をたっぷりと楽しめる辰巳館には、大浴場が3ヶ所あります。


このうち「ひすいの湯」は女性専用の内湯ですが、残りの2つ「かわせみの湯」と「はにわ風呂」は時間による男女交替制。


中でも注目は「はにわ風呂」。実はここ辰巳館は、「裸の大将」で知られる山下清画伯がこよなく愛した宿なのです。はにわ風呂の名前そのものは、地元にほど近い場所で埴輪が発掘されたことが縁で、大浴場の中に大きなはにわが立っているからなのですが、注目は壁画です。


山下清さんは辰巳館に何度も訪れ、周辺の風景などをスケッチし、貼り絵や、水彩とマジックの作品などを残しているのですが、その貼り絵を元に作られたのが、はにわ風呂の大壁画『大峰沼と谷川岳』なのです。


その貼絵の原画をもとに砕いた特殊ガラスを使い、山下清さんの師である式場隆三郎さんや、美術工芸家の手塚昇さんと一緒に、50日間かけて自ら作ったというこの壁画。実は画面のすみには山下清さん自身の姿も登場しています。山下清さんのモザイク作品は、辰巳館のほかには横浜に一作あるだけという貴重な作品です。


一方、交替制のもうひとつが総檜風呂 「かわせみの湯」。湯口がちょっと変わった形をしているのは、地元「月夜野びーどろパーク」に特注したというガラス工芸で、月夜野の「月」をかたどっています。かわせみの湯には、庭園露天風呂「たまゆらの湯」も併設されています。


これらの大浴場のほかに、貸切風呂が2ヶ所あります。どちらも貸切にするのはもったいないほどのゆったりとした造り。


 源泉ジャグジー&蒸し風呂「風月の湯」は、名前の通り、かけ流しの源泉を使ったジャグジー。ただでさえ温まる温泉に、気泡・ジェット噴流の効果もあって体の芯からあたたまります。浴室内にはやはり源泉を使った蒸し風呂も。「風月の湯」のすぐ隣には、エステティックサロン「セレーネ」が。ジャグジーで温まって血行がよくなったところで、すぐにエステに行けるようにと、隣に作られたそうです。フェイシャルやボディのメニューがあります。


純和風造りの総檜風呂「鄙の湯」は、湯船だけではなく湯上がりに休憩できる広々とした畳敷のスペースが! 入浴後にそのまま昼寝ができそうなほどのゆったりとした造りです。


大人気の貸切風呂は、どちらも1時間3,000円。のんびりと入浴できる分、利用できる組数が限られているので、早めの予約を。貸切風呂付きの宿泊プランもあるのでおすすめです。

温泉データ
源泉名
上牧温泉(新湯2号泉)
泉質
ナトリウムーカルシウム・塩化物泉
成分総計
湧出状態
源泉温度
引湯距離
浴場データ
浴場名
使用状態
使用源泉
加水
加温
消毒剤の使用
利用時間
水上インターから5分ほどで到着する上牧温泉は、大正時代に開湯したという比較的新しい温泉。ここで大正13年から営業しているのが「温もりの宿 辰巳館」です。


川沿いのせせらぎを望む場所に、平成元年に新築した登竜館や、南竜館、昇竜館という3棟の建物に41の客室があります。


和室中心ですが、中にはツインベッドの和洋室2室もあり、さらに「登竜館」には古代桧を使ったお風呂が各室についた特別室も8室。残念ながらこのお風呂は温泉ではないものの、優しい桧の肌触りで好評。


この辰巳館、温泉のページでもご紹介していますが、裸の大将で知られる山下清さんが愛した宿でもあります。山下画伯の師匠である式場隆三郎氏と一緒に、何度もこの宿に訪れたそうです。


いくつもの作品を残していて、館内には水彩とマジックで描かれたスケッチ、貼り絵などが飾られています。その貼り絵を元に50日の歳月をかけて山下画伯ご本人も含めて作り上げたのが、はにわ風呂の大壁画です。

施設・設備
創業1924年
建物1990年新築など・全41室
トイレシャワートイレ
部屋付き内湯桧風呂付き8室
冷蔵庫あり
AG304 総合評価
原産地への配慮
現地産食材の使用
無添加への取り組み

認定のポイント


◎地元みなかみを中心に沼田や片品など群馬県産の食材を主に使っている。
◎伝統的な調味料やだしを使っている。
◎タレもできるだけ手作りをしている。

認定条件
審査
備考
基本条件
雪国の気候風土が活きた美味しい食を自らの宿や店で作っていること。
原材料のすべての情報を公開できること。
雪国観光圏内の食材を積極的に使用していること。
消費者の「安全」と「美味しさ」を第一に考え、原産地や添加物にまで気を配っていること。
「雪国A級グルメ」認定の一次産品、加工品を積極的に使用していること。
1つ星
米に関しては、雪国観光圏7市町村のものを100%使用していること。
野菜と農産物加工品に関しては、雪国観光圏7市町村のものを中心に、自県産を50%以上使用していること。
外国産の野菜や農産物加工品を使う場合には、食の安全性から見た必然性や、調味において不可欠なもの等の理由があること。
素材の味の良さを最大限に生かすために、基本的に化学調味料は使わないこと。
ただし、※の事項については特例として認定する。
※1つ星の特例事項入っていない
・ドレッシングや加工品に添加物や化学調味料が入っている。入っていない
・味噌や醤油、酢、みりんなどの調味料に化学調味料が入っている。入っていない
・漬け物に添加物や化学調味料が入っている。一部入っている
・農産物加工品、畜産加工品に添加物や化学調味料が入っている。一部入っていない
・味噌汁に化学調味料の入った顆粒粒だし、だしパックなどの製品を使っている。一部使用している
・味付け海苔や添加物入りの加工品(納豆、もずく、タコワサ等)を提供している。使用していない
2つ星
1つ星の該当条件を満たし、特例事項(※)への該当がほぼないこと。
食肉と食肉加工品に関しては、雪国観光圏のものと、所在地の県産品を積極的に使用していること。
雪室で貯蔵した米や雪室ジャガイモ、雪下にんじん等、雪国らしい素材を積極的に使用していること。
伝統野菜や伝統調味料を積極的にメニューに取り入れていること。
3つ星
1つ星の該当条件を満たし、特例事項(※)への該当がほぼないこと。
農産物は特別栽培農産物や有機JAS、またはそれに準ずるものを積極的に使用していること。
地域をリードする専業農家や農業生産法人、エコファーマーの生産する農産物を積極的に使用していること。
春は山で獲れた天然の山菜、秋は天然きのこなど、その地で穫れた天然の幸を積極的に使用していること。
川魚と食肉、食肉加工に関しては、抗生物質や薬剤をできる限り使わないものを使用していること。
味噌、醤油、みりんなどの調味料は、すべて無添加、天然醸造できちんと作られたものであること。
品質の高いだし素材を使用していること。
畜産加工品や農産物加工品にも添加物が入っていないことを確認して料理していること。
加工品や調味料の原材料と、その品質まで把握するように努めていること。
食材の産地
お米
品種:群馬県産コシヒカリ100%
生産地:みなかみ町新治地区
栽培方法:減農薬・減化学肥料栽培

お米は利根川最上流のみなかみ町で「籾殻燻炭法」といういぶした燻炭を田んぼの土作りに使い、数々のお米のコンクールに入賞している名人・本多義光さんのコシヒカリを使用。
野菜
みなかみ町月夜野産:イチゴ、りんご、さくらんぼ
みなかみ産または沼田市産:ホウレン草、トマト、キュウリ、キャベツ、白菜、小松菜、茶豆
下仁田産:ネギ(下仁田ネギの季節以外はみなかみ産)
隣町の沼田産の野菜を使うことも多く、シーズンには生プルーンなども使用。いちごは、月夜野の高橋りんご園のものを限定で使用。
山菜
ふきのとう、こごみ、ふき、ぜんまい、タラの芽、うど、行者ニンニク、ヒメタケなど
天然ものと栽培もの、どちらも使用している。
きのこ
みなかみ町月夜野産:月夜野しいたけ、雪割り茸、谷川茸
きのこは地元の栽培ものを使用。天然ものは使っていない。
加工品
納豆、豆腐、ハンバーグ、ソーセージ
納豆は地元産大豆を使ったもの、豆腐は片品の尾瀬ドーフを使用。極力、地元産原料を使った加工品を仕入れるよう心がけている。お子様向けの夕食に使うハンバーグ、ソーセージのうちソーセージは調味料(アミノ酸等)が入ったものを使用。
食肉
豚肉:やまと豚、麦豚、下仁田ポーク
牛肉:赤城牛
鶏肉:赤城鶏
肉は6割が群馬県産のものを使用。価格帯の低いものにはUSビーフや、その他国産の肉も使用。
魚介類
川ふぐ(ナマズ)、桜鯉、銀光(ギンヒカリ)、岩魚、鮎、山女など
海の魚をできるだけ使わず、お造りも川魚が中心。地元の川魚活魚専門店から毎日仕入れをしている。使用している魚の9割が県内産。
調味料
醤油:キッコーマン、ヒガシマル本醸造・国産
味噌:天然醸造・無添加・群馬産
みりん:本みりん・国産
酢:ミツカン米酢・国内産
塩:イオン膜交換・立釜式・無添加・国産
砂糖:上白糖」-精製糖・国産
油:キャノーラ油

調味料の中でも特に味噌にはこだわり、朝食と夕食で使い分け。夕食の味噌は地元の酒屋から仕入れ、朝食には沼田の「清七みそ」と、コクと香りのある茶豆の味噌をブレンドして使用している。
だし
かつおー削りパック・国内産
昆布ー日高昆布一等検

基本のだしは素材からひき、たまにサバ節なども使用。味噌汁だけは調味料(アミノ酸等)が入っただしパックを使用。

※実際の食材は仕入れ事情によりこの表と異なることもありますが、実際の宿泊の際におたずねいただければ、すべて産地を公開することが可能です。

DATA
温もりの宿 辰巳館【群馬・上牧温泉】
〒379-1303 群馬県利根郡みなかみ町上牧2052
予約
オンライン予約: 自社公式HP
電話予約:0278-72-3055

アクセス関越自動車道水上ICから国道17号経由で約5分
JR上越新幹線越上毛高原駅からタクシー約10分、またはJR上越線上牧駅から徒歩約5分
チェックイン・アウトイン14:00/アウト10:00
料金2人1部屋の1名料金(1泊2食、税サ・入湯税込)
平日 12,030円〜
休前日16,950円〜
日帰り利用入浴のみ1,000円(14:00〜19:00)、食事付きは6,000円。
一人宿泊平日のみ可
食事夕食/和食(食事処)、朝食/和食(食事処)
客室数41室
お風呂男女交替制大浴場:2
貸切露天風呂:2
インターネット接続無線LAN(全館可)
喫煙客室一部禁煙、パブリックは喫煙所のみ喫煙可
支払い方法クレジットカード可
定休日なし
FAX0278-72-5553
e-mailkamimoku@xp.wind.jp
食事への対応アレルギー  :できる限り対応するが、細かい部分までは対応できないこともある
応する
糖尿病・高血圧:厳密にはできないができる限り対応する
玄米食    :対応していません
野菜食    :厳密さを問わなければ野菜中心のメニューに対応可
※ご希望の場合は、事前に連絡を。

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温もりの宿 辰巳館tatsumikan
AG304 総合評価
原産地への配慮
現地産食材の使用
無添加への取り組み
住所:〒379-1303 群馬県利根郡みなかみ町上牧2052MAP
TEL:0278-72-3055
URL:www.tatsumikan.com
アクセス:
関越自動車道水上ICから10分
JR上越線上牧駅から徒歩約5分
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