文豪ゆかりの老舗旅館の料理が、ガラリと生まれ変わりました。
2010年、雪国A級グルメがスタートした年にエントリーをしていた「雪国の宿 高半」ですが、その年は新たな料理長がやってきて1年足らず。
高半は、文豪・川端康成が小説「雪国」を執筆した宿としても知られる老舗の温泉旅館ですが、以前の料理は、カニやマグロが付く“いかにも”な団体旅行客向けの旅館料理。それを、料理長と経営陣が一体となって改革を進めました。2010年も料理は大きく変化をしている最中だったのですが、残念ながらその年はまだ認定旅館には至らず「もうすぐ認定」ということで保留となっていたのですが、その後も改革は続き、2012年の審査ではいきなりの三つ星認定となりました。
料理長がまず変更したのは、だし。「和食は水に始まって水に終わる」と、地元の名水を使い、北海道産の一等検の真昆布や、枕崎産の鰹節をたっぷりと使っただしを丁寧にひくところからはじめました。その後も、調味料も次々に無添加の本物素材へと変更。県内産の醤油や味醂を使うようになり、最近では料理に使う酒も変更したり、料理によってはだしに鮪節を加えたりという変化も。これらの調味料やだしについては詳しく書かれたものが食卓の端に置かれ、すべて公開されています。

野菜や魚、肉などの素材も、雪国でとれたもの中心に使用。春の山菜などは料理長をはじめ、板場の人が自分たちで摘んだ物も使われます。
下の料理の写真を見ていただくと、一見、「温泉旅館の宴会料理」に見えるかもしれません。というのも、器だけは以前と変わっていないから。だけど、使っている素材などを見ていただくと、地場産にこだわっているものであることがわかると思います。もちろん、味も抜群で、2年以上前の料理を知っている方には驚くような変貌を遂げています。
しかも、高半は越後湯沢で唯一自噴する「玉子の湯」の湯元。お湯は加水・加温なしの源泉かけ流しです。鉄筋コンクリートの建物は少々、古びているものの、お湯が良くて料理が良くて、しかも価格は1万円代前半からと、コストパフォーマンスは抜群です。
宿泊時の夕食例
湯沢の冬支度
新潟県産の食材を中心にした、ある日の夕食メニュー。予約をすれば宿泊客以外でも料理が楽しめます。日帰り入浴も可能なので、組み合わせてどうぞ。

- 1. 先ずは、一献
- 佐渡産ズワイガニ、魚沼茸、水菜、かきのものとのお浸し。「かきのもと」は紫の美しい食用菊です。
- 2. 魚沼の水
- 胡麻豆腐の沢煮椀。

- 3. 活力の恵み
- 魚沼の川や越後近海で採れた鮮魚をお造りで。
- 4. 新たな郷土の味
- 越後名物のっぺい汁を地酒の酒粕風味で作る、のっぺい酒粕蒸し。

- 5. 香りの一品…
- 美雪鱒、糸ウリ、黄ぢぼしだいこん、小松菜で作る自家製ナムル。
- 6. 魚沼の肴
- 魚沼名産八海山サーモンを塩糀に漬けた香味フライ。バジルの香りも爽やかなフライを、8種の魚沼キノコを刻んでパプリカと合わせたソースで 味わいます。

- 7. 小鍋
- 越後もち豚のすき焼き風。
- 8. 御食事
- こだわりのお米 南魚沼の川永さんちの新米コシヒカリ。

- 9. 御食事
- 自家製味噌で作った御味噌汁、時野菜使用の自家製お漬物
- 10.季節の果物