店内で石臼挽きした地元産の蕎麦粉を使って
地域伝統のへぎそばを毎日手打ち。
※2017年8月上旬、リニューアルしました。
越後湯沢の温泉街にある蕎麦屋「しんばし」の一角にはガラス張りの蕎麦打ちスペースがあり、毎日、ここで打ち立ての蕎麦を用意しています。その奥には石臼があり、ゆっくりと粉を挽いています。
以前は北海道産などを多く使っていたという蕎麦粉ですが、この数年、「地元の粉の方が地元の水にあう」と魚沼産の蕎麦粉の割合を増やし、現在は半分以上が南魚沼や湯沢などのものに。さらに一部は、自分たちで畑を管理した自家栽培も行っています。新潟県内で、地場産の粉を自家製粉している蕎麦屋は、雪国A級グルメの認定店以外に、そうそうありません。
看板メニューは、雪国の特徴的な「へぎそば」。へぎと呼ばれる器に小分けした蕎麦を何人分か盛りつけたものです。つなぎとして布海苔を使った、ぷりぷりした食感が特徴です。「しんばし」の蕎麦は基本が蕎麦粉8割、小麦粉2割の二八蕎麦ですが、このつなぎに少量の布海苔も加えて使っています。
また、ちょっと変わったところでは、雪国A級グルメの認定加工品である調味料「からいすけ」を使った「からいすけせいろ」もあります。地元の言葉で、「辛いから(気をつけて)」という意味を持つ調味料は、形はピーマンに似た辛味のある伝統野菜・かぐら南蛮と味噌を合わせたもの。そばつゆに好みの量を混ぜてそばをつけて食べるのですが、爽やかな辛さがくせになります。

「雪国の手作り」をコンセプトに、サイドメニューも充実。
例えば、「身欠きにしんの煮付け」。身欠きにしんは海から遠い内陸部まで運んで食べられる海産物として、魚沼でも古くから親しまれてきた郷土食です。店で三日間かけて戻してから炊きあげ、骨まで柔らかく仕上がっています。
「煮菜」は、「にいな」と呼ばれる郷土料理。野沢菜の漬物を、家庭によって様々なものと一緒に煮込んだものです。
「山菜煮」は、春になると店の人が早朝から総出で採りに行き、一年分を塩漬けにして保存しています。
最近は、囲炉裏のあったころの雪国の生活を思わせる、燻製メニューも増やしました。「美雪ますの三点盛り」は、地元の特産品である美雪ますを、燻製、風干し、昆布巻き、という3種の調理法で味わえます。こちらも特産品の豚を使った「越後もち豚の燻製」も。燻製はそばの実を使った、蕎麦屋ならではのもので、口に入れると、ほんのり特徴のある香ばしさが楽しめます。
燻製メニューは今後もさらに増えていく予定だとか。ここでしか味わえないオリジナルの地酒もあるので、おいしい燻製を肴にちょっと一杯、という時間を楽しめます。朝から夜まで休憩なしで営業しているので、半端な時間に食事をしたいときにも助かります。
料理例
蕎麦は二八蕎麦で、へぎそばだけでなく一人前のせいろやざる、つけとろなどのほか、冷たい蕎麦もあります。

- へぎそば(3〜4名分2,700円)
- 平たく大きなに一口分ずつ盛られたそばは、つなぎに海藻の一種「布海苔」を使っていて、ぷりっとした弾力が特徴。布海苔は、塩沢紬や小千 谷縮など、織物の産地であった魚沼で、糊付けに使われていたもので、古くからこの地方で蕎麦のつなぎにも使われてきました。2人前1,900 円の半へぎそばもあります。
- 越後もち豚の燻製
- 蕎麦の実でいぶし、ほどよい加減に脂が落とされた豚の燻製。オーブンで温めて出されるので柔らかくジューシー。

- 煮菜
- 野沢菜をだしを効かせて煮た雪国の郷土料理。材料になる野沢菜も店の自家製です。
- 山菜煮
- 春に従業員みんなで採ったという山菜の煮物。
- からいすけせいろ
- 辛味のある伝統野菜のかぐら南蛮に味噌を合わせた調味料「からいすけ」を、すった胡麻と一緒にそばつゆに混ぜて付け汁に。からいすけは青 と赤の2種があり、4月〜9月はまろやかな「青」になります。